食品スーパーマーケットには(1)都市圏に出店するものと、(2)地方展開するものの2類型があり、前者は肥沃な商圏の特定階層部分に集中化し、後者は人口密度の低い商圏の大部分をとるために特定地域に集中化することでポーターの言う集中戦略を実現する。また、前者は競合他社との差別化をとり、後者は競合他社に対するコストリーダーシップを実現することで競争に勝ちゆくことが、これまでの経験値から見てとれる。
実際には、この両者において成功しているスーパーマーケットをみると、①都市圏型・差別化と②コストリーダーシップの2類型となっている。これはコストリーダーシップは全ての市場において有効だが、差別化は一定以上の肥沃な足元商圏が無くては成り立たないことが原因と思われる。
現在、デフレ下でも売上高を大きく伸ばしている企業は、これもポーターのバリューチェーンに沿って自社の事業の組み換えを行っている企業である。
例えば差別化で急成長中の東京都内某社は、小売業としての店舗チャネルのみの役割から、垂直統合による生産段階まで踏み込むことで、高い粗利益率を取れる商品を開発し、それを重点販売することにより売上および収益を上げている。
また、低価格競争で勝ちゆく企業は、単に垂直統合のみではなく、機能の組み換えを大胆に行い、低コストに耐えうるコストリーダーシップを作り上げている。例えば、これまでは発注作業は店舗における作業であったが、これを本部集中化することで、発注作業そのものを補助的機能として主たる業務から外している。その他生鮮食料品の店内加工のセンター集中化も、主機能の補助的機能への変換に他ならない。
これらの企業は、意識的に競争戦略を見直すことで成功を収めているが、その他の食品スーパーマーケット群には戦略的な意図がみられず、業績向上の兆しがない。